自分がやりたいことに時間を費やしたかった

小さい頃から手芸が好きで中学3年生の頃には、インターネットで知り合った方のお店で、少しだけですが小物の販売もしていました。

小物を作ったり、お店の方と「どんな風に売ろうか。どんなチラシを作ろうか」と考える時間はとても楽しく、「これを仕事にしたいな」と思うようになりました。

中学校を卒業したら仕事として小物作りをやっていきたいと両親に打ち明けた時、意外にも父も母も賛成してくれました。

「あなたは小物作りをしている時が一番、いい顔をしている」、「そういったやり甲斐を感じられることを若い内に見つけられたのはむしろラッキーだ」と言ってくれました。

その時、父が「通信制高校というのもあるよ」と教えてくれました。

「小物作りをするにも学があった方がいい。こういう学校なら仕事をしながらでも通えるし、仕事の方が忙しくなったら登校日数も調整できるみたい」

私は最初、(小物作りに高校の勉強は必要無いよ…)と思っていたのですが、お世話になっている店長さんや小物作りの先輩に聞くと、みんな「高校の勉強は小物作りにも役に立つよ」と教えてくれました。

「ぜったいに自分の世界が広がるから、勉強した方がいい」、「英語とか歴史とかもっと勉強しておけばなぁって思うよ」、「大学に行くっていう選択肢も捨てない方がいい。いろんな人と出会うのは作家にとって大切」とアドバイスをもらい、仕事をしながら勉強をする、という決心をしました。

私は週に3回、登校するというペースで通っていました。制作作業をする人は、どうしても“夜型”になってしまいがちだったので、学校があったおかげで健康的な生活ができていたと思います。

普通の高校に通うより、比較的、時間が自由になります。だから、少し遠くの先輩にも会いに行ったり、制作のアルバイトをさせていただくことができました。このような経験は通信制でなければ出来ないことなので、とてもラッキーだったなと思います。

4年間で卒業した後、高校時代にアルバイトさせていただいた先輩の工房で小物の制作~販売の仕事をさせてもらっています。

「やりたいことをやる」という選択をして良かったと胸を張って言えますし、それを許してくれた両親には本当に感謝しています。